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2003年9月24日 水曜日

すれ違う人

わたしが働く会社はオフィス街にあるので、
適当な値段で外食できるお店がほとんどありません。
なのでお昼時になると、お弁当屋さんや屋台がたくさんやって来ます。
その種類はバラエティーに富んでいて、
普通のお弁当屋さんはもちろん、カレー屋さんだけでも5軒以上来ているし、
パスタ屋、冷麺屋、タコライス屋、ビビンバ屋、卵料理屋、喫茶・・・等など。
お昼時だけ、そんな屋台が同じ道沿いにプチ店舗を出店していて、
たくさんの会社員たちで、ごった返しになるのです。

そんな贅沢な環境で働く人たちの舌は肥えていて、
人気のあるところは毎日行列ができるし、
そうでないところは、あっという間に来なくなってしまいます。
人気を得て固定客がついたところでも、
毎日20軒もの屋台が並ぶ中で生き残るのは大変そうです。
あまりにも競争率が高いため、
曜日によって来たり来なかったりする店があったり、
日替わりでメニューをかえたりする店もあるので、
飽きないし、値段も安いし、味もいいのです。

わたしは食べ物のスキキライが激しいのに加えて、
どうしても屋台で働く人の人柄を見て、食べるものを選んでしまうので、
必然的に利用するところが決まってきてしまいます。
わたしが人なつっこいので、
働く人も覚えてくれたりして、暇な時にはアレコレ立ち話しちゃったりして…
そうするとプライベートなことを教えてくれたり、わたしも話すようになるし、
その頃には情も湧いてしまって、すっかり打ち解けてしまいます。

田舎の話とか、将来の夢の話とか、新商品の相談とか、そんな話までしてくれちゃうと、
わたしも聞いているだけで嬉しくなってきます。
本当ならすれ違うだけけの人なのに、ちょっとした人間関係が作れるのかなって思っちゃう。
その人たちにとっては単なる営業トークだけのつもりなのかもしれないけど、
少なくともわたしにとっては、通うたびに必ず人のぬくもりを感じる場所になっていました。
寂しがりやのわたしだけが、そう感じているのかもしれませんが。

わたしが特に気に入っているのが「お粥屋さん」です。
ちょっとタイ料理風で、お粥の中にナンプラーやコリアンダーを入れるのです。
ビーフンの麺もやっていて、好みでトムヤンクンのスパイスも加えてくれます。
わたしが頻繁に通ったので、
予約専用の電話番号のほかに、お兄さんの携帯番号まで教えてもらうほど常連になりました。
わたしが買いに行くと、遠くのほうからでも立ち上がって迎えてくれるのが嬉しかった。

この前、そのお兄さんが「来週から(週3日だったのを)週2日になるから」と言いました。
わたし「新しい場所、開拓するの?」
お兄さん「う〜ん…まぁ、そんな感じ」
そういう変更はどの店でもよくあることなので、その時には気にも留めなかったけど。

先週お粥屋さんに行ったら、いつものお兄さんのかわりに別の人が来ていました。
以前、一度だけお兄さんと一緒に来ていた人。
たしか、一緒に仕事をしていて、普段は別の場所に行っていると聞いたことがある人。
わたし「○○さんは?」
その人「あー、やめちゃったんですよ」
わたし「え!?なんにも聞いてないですよ!」
その人「もしかして、はるしゃさん?」

わたしがよく予約の電話をしているので、その人もわたしのことを知っていました。
わたし「あ、そうです。はるしゃです」
その人「なんにも聞いてないですか?」
わたし「そう言えば、週2日になるって言ってました」
その人「そうそう、○○がやめちゃったんで、2日だけになっちゃうんです」
わたし「そういうことだったんですか…でも、なんでやめちゃったんですか?」
その人「家庭の事情とか言ってました。はるしゃさんには言いにくかったんでしょうね」
今にして思えば、最後の様子がおかしかったかもしれません。

それまで1年半もの間、仲良くしてくれた人に突然会えなくなって、
すごいショックを受けてしまったわたし。
胸のあたりがキュ〜ッとなって泣きそうになってしまいました。

会社に戻って。
友達A「あ、お粥屋さん行ったんだー」
わたし「うん………、お粥が売り切れで、麺にした」
友達B「?」

すごく仲良くしてくれている2人に、隠しごとなんかできるわけありません。
2人はわたしの異変にすぐ気がつきました。
わたしはその場で泣いてしまいました。
何があったのかと動揺する2人に、泣き泣きそのできごとを話したのでした。
その時、買ってきたビーフンの麺は、なんだか味気ないような気がしました。

それから5日ほどが過ぎました。
教えてもらったお兄さんの携帯には、とうとう電話できませんでした。
お兄さんが、わたしにやめることを伝えられなかったように、
わたしも、どうしても電話する勇気がありませんでした。
でも、考えて、
すこし寂しいけど、これでよかったんだと思うようになっていました。
世の中、すれ違う人ばかりだけど、
時には立ち止まってくれる人もいるんだなと、気づいたから。
いったいこれから何人の人が立ち止まってくれるんだろう…
そんな事を考えながら、
次はどんな人と仲良くなれるのかなと期待しているわたしがいました。

投稿者:はるしゃ | 19:32 | カテゴリー:日記

コメント

投稿者 その一 : 2003年09月28日 09:05

すれ違う人には 礼儀をもって
立ち止まる人には 誠意をもって

でも仲良くなるには
留まる人にしか出来ないなあ。ちうことで。

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