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2003年10月13日 月曜日

パチンコ

二十歳になってから、初めて里帰りした時のことですが、
パパに「パンチコに連れて行って」とねだったことがあります。
「お前のような子どもが行くところじゃない」と叱られたのですが、
「パパのパチンコをする姿を見せてやるいい機会だから、連れて行ってやりなさい」
と、ママがパチンコ好きのパパに嫌味を言いました。
「いいか、パパのことは、オッサンと呼びなさい。パパ!パパ!呼ぶな」ときつく言われて、
パチンコに連れて行ってもらえることになったのでした。

パチンコに向かう車の中でも、約束事はつづきました。
パパ「パパのことはオッサンと呼びなさい」
パパ「誰かから、娘さん?とか聞かれても、知らないと言い張るんだぞ」
パパ「パパは一緒には座らないからな」
どうやら、顔なじみの人に、娘を連れてきたとばれるのが恥ずかしいらしいのです(笑)
あ、そうそう。こんな事も言ってました。
パパ「最初の3千円分はパパが出してやるけど、あとは自分のおこづかいでやりなさい。負けても知らんからな」
わたしは「はいはい、はいはい」と聞き流していました。

パチンコ屋さんに入ると、大音量の音楽と、アナウンスと、タバコの匂いと、機械の匂いだらけでした。
あっけにとられている間にパパがコインを用意してくれました。
パパが指定してくれた台は、パチンコではなくてスロットルというものでした。
パパは「ここにコインを入れて、このボタンを押すだけだから。パパはトイレに言ってくる」
と言い残して、行ってしまいました。

ボタンを押すだけって言っても、ルールも何もわからないし、困り果てたわたし。
周りの人がやっているのを見よう見まねで、ボタンを押しつづけました。
押すと、画面がクルクルまわって、絵の模様が変化していきます。
なんとなく、絵の模様をそろえたらいいのかな…と思っていたら、
とつぜんわたしの台から、大音量で音楽が鳴りはじめ、コインがたくさん出てきました。

まわりの人の台は静かななのに、わたしのだけうるさい!
ただでさえ、女の子だってことだけでも目立っていたのに、なんか視線が怖かった。
「どうしよう!」とパニックになりながらボタンを押しつづけるしかありませんでした。
そうして音楽は鳴りつづけ、コインも出つづけ、コインがいっぱいになってきました。
このままでは溢れてしまう!と思い、まわりをキョロキョロ…
たぶんコインを入れるために使うらしい箱が遠くのほうに見えたので、
席をたって取りに行って戻ってコインを箱に入れて、その間も音楽は止まらなくて…
しかたがないので、ボタンを押しつづけ…
パパが戻ってきたのは15分くらいしてからでした。

パパ「ジャンジャラうるさいのは、お前のところだったのか?」
わたし「パパ!遅いー!音楽がうるさいし、箱とりに行ったり、大変だったんだから!」
パパ「パパ、パパ、言うな!」
わたし「パーパー!!!(大声で)」
わたしたち2人は、みんなの注目の的でした。
パパ「よ、よし、パパが悪かった。もう出よう」

パチンコから出て、パパが怪しげなところに入っていって、
「儲かった」と言いながら出てきました。
「最初の3千円分は返してもらうからな」と言って、1万7千円をくれました。
帰りの車の中でパパに、
「初めてのパチンコで勝ったら、パチンコにはまってしまうから、もうするな」と注意されました。
「だからパパもパチンコにはまっちゃったの?」と聞いてみましたがごまかされました。

それ以来…かどうかわかりませんが、どうやらパパはパチンコをやめたようです。
わたしも約束どおり、パチンコはやっていません。
こうして何もかもがママの思惑通りにことが進んだのでした。
めでたし、めでたし。

投稿者:はるしゃ | 17:55 | カテゴリー:思い出

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