« theKitchenGuysBand ライブレポート@10月19日(日)御茶ノ水ZIPPAL HALL | メイン | お粥 »

2003年10月23日 木曜日

火事

以前、都内のマンションに弟と2人で暮らしていたことがあります。
弟とわたしは年子なので、幼い頃から仲がよく、特に苦痛もありませんでした。
8畳の部屋に布団を並べて、一緒に寝起きしていました。
わたしの友達が遊びにきたときには弟がごちそうを作ってもてなしてくれたり、
弟のトランプマジックにだまされたり、弟のキックボクシングの練習の的にされたり、
弟のギターとわたしのピアノを伴奏に一緒に歌を歌ったり、
それなりに楽しく生活していました。
なのに、その楽しい生活をおびやかすような事件が起こってしまったのです。

マンションは環七沿いの、かなりうるさい場所にあったので、
パトカーや救急車が頻繁に通ります。
それでもビンボウな姉弟は騒音にも負けず、真夏の夜は窓を開けて寝ていました。

ある夜のこと、消防車が何台も通っていて、音が鳴り止まないことがありました。
しかも音がすぐ近くに聞こえ、消防車が集まってきているような気配がしました。
弟も目がさめたらしく、わたしの方を見て、しかめっつらをしています。

わたし「うるさいなぁ」
弟「うるさいなぁ」
しばらく布団にもぐって音に耐えていましたが、かすかに焦げ臭い匂いがします!
「近い!?」
わたしは台所の窓へ、弟はベランダへ走りました。

下を除くと、たくさんの消防車が集まってきています。
おまけに、わたし達の住むマンションを取り囲んで、大量の水を放出しているのです。
さらによく見ると、駐車場になっている1階から火と煙が!!!

「このマンションだ!!!」
弟とわたしは、ほぼ同時に叫びました。
パニックを起こしているわたしに向かって弟が「貴重品だけ持って逃げるぞ!」と怒りました。
あわてて、財布と通帳だけ手に持って、部屋の外に飛び出しました。

「階段で降りるぞ!」弟がまたもや誘導します。
わたしは廊下にあった非常ベルを押しましたが、音が鳴りません。
他の部屋の人のことが気にはなりましたが、そのまま階段を駆け下りたのです。

外に出ると、たくさんの消防車と、たくさんの野次馬と、パトカーがいました。
わたしと弟がパジャマでマンションから出てきたので、注目の的です。
火はすでに消えていて、あたり一面水浸しでした。
駐車場の壁や天井に黒く焦げたあとが残っていて、そこからも水がヒタヒタしていました。

「ここの住人の方ですか?」
消防車の人が話しかけてきました。
「ここの住所とか、色々確認させていただきたいのですが」と言いながら、
小さい黒板をわたしに見せました。
見ると、チョークで、住所とマンションの高さが書いてあります。
わたしは「住所はあってますがマンションは6階じゃなくて7階建てです」と答えました。
消防車の人はそれだけ確認しただけでした。本当に。
警察の人にも何も聞かれませんでした。本当に。
騒ぎは収まり、わたしと弟が部屋に戻ってからやっと非常ベルが鳴り始めて、
誰かの悲鳴が聞こえました。

次の日、下の階に住む雇われ管理人さんが、尋ねてきました。
管理人「実は昨夜、このマンションの駐車場で火事がありまして」
わたし「知ってます。パジャマで逃げ出してしまいました」
管理人「あ、そうだったんですか」
わたし「消防車の人に色々質問されたので答えておきましたけど」
管理人「あ、そうだったんですか」
わたし「逃げ出す時に非常ベル押したんですけど鳴らなかったんです」
管理人「あ、そうだったんですか」
わたし「騒ぎが収まって、部屋に戻ってから鳴ってましたけど」
管理人「あ、そうだったんですか」
自分の管理が行き届いてないことを悟ってしまった管理人さんは、
うなだれて引き上げていったのでした。

さらに数日後、火事の原因が放火だったことが判明しました。
駐車場にあった大型バイクに、火をつけられたようなのです。
なんだか恐ろしくなったわたしは、それを機に引っ越しを決意したのです。
こうして、弟とわたしの楽しい生活は終わったのでした。

投稿者:はるしゃ | 22:28 | カテゴリー:思い出

コメント

コメントしてください




保存しますか?